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ichinose: 高精細画像の写真撮影とレプリカの制作

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作品のスキャニング作業が終了した。

800ppi で複数回スキャンした。
作品は凹凸が激しく、2焦点位置で撮影し全焦点画像を生成した。
また、有効スキャン範囲を超えているため、左右2回に分けてスキャンし、合成した。

この作業を通じて感じたことをちょっとメモします。

今回は、塵(ちり)のことと画像接合の話題です。

 塵(ちり)のこと。

スキャン解像度が800ppiともなると、1画素で32マイクロメートルを分解する。

ちなみに、髪の毛の直径は、70マイクロメートルなので、

作品の上に埃や髪の毛が乗ってしまうとはっきりとそれと判ってしまう。

そのため、画像をパソコンで開いてからが、大変な作業になる。

(じつは先月、日本刀のスキャニングワークショップに合わせてクリーンベンチを導入したのだ。)

作品の中に毛筆の毛こそ見つかったが、室内の空間から落下したと思われる埃や髪の毛は幸いにして検出されず、後処理は非常に楽だった。

ほっとした。

800ppi ましてや 1200ppi ともなると、クリーンベンチは必須です。

ちなみに、クラス1万というクリーンベンチのスペックは、

1フィート立方空間中に、0.5マイクロメートル以上の塵が、

1万個未満であること。

 画像接合の話。

最近のPhotoshopは、メモリーさえ積んでおけば、ギガピクセル(10億画素)画像だろうと、さくさく動く。

今、弊社で頻繁に使うのが、レイヤー合成機能とフォトマージ機能(Photomerge)だ。

レイヤー合成機能は、パンフォーカス画像の生成に非常に有効だ。

パンフォーカス画像とは、被写体に奥行きが有る場合でも、前後方向全域にピントの合った画像のこと。

通常は、撮影光学系の被写界深度(ピントの合う範囲)があるため、解像度を上げる程、パンフォーカス画像は得られない。

そこで、被写界深度よりも、対象物の奥行きが大きい時は、カメラごと前後させて複数枚の画像を得て、その複数枚の画像から最適ピント画像を合成する。

これは、顕微鏡の場合に良く行われる手法で、光学写真で立体物の全焦点画像は、こうした方法で得て居る。ちなみに、顕微鏡のレンズは殆どが、テレセントリックレンズである。

デジカメの場合(最高級業務用一眼レフも同じ)はこうはいかない。

近づくと被写体は大きくなる、遠ざかると小さくなる。

いわゆる、パース(ペクティブ、遠近法のこと)が発生して、前後のピントの合った画像の自動合成では、どうしても歪みが発生する。

単純計算で、1メートル離して撮影した場合で、1mm近付けば、相手は1000mmに対して、1mm大きくなってしまう。

10cm対象であれば、端で0.1mm程度、つまり800ppiであれば、3ピクセル分は歪みが発生する。

だから、画像接合はそう簡単な話ではない。

オルソスキャナは、テレセントリックレンズを採用した。

その結果、被写体の凹凸に合わせて、ピント位置を変えてレンズを丸ごと前後させて得た画像は、寸法歪みが無いため、素直に合成することが可能となった。顕微鏡と同じ原理だ。

こうして、レイヤー合成機能を使って、お任せでパンフォーカス画像が(ほぼ)自動生成される。

・・・

次に、フォトマージ機能。

こちらは、パノラマ写真を作るために産まれた機能だ。

イメージスキャナでも、大きな被写体を何回かに分けてスキャンして合成する際に使用できる。

Photoshopが、画像を見比べて、マスクを自動生成して、複数画像を合成する。

2回に分けて撮影した画像の接合部を32マイクロメートルの歪み無く、撮影することはデジカメでは不可能だ。でもPhotoshopが、うまい具合に接合してくれる。。はずだが、そうはいかない。

地図など線画の被写体の場合は、鉄道が繋がらず、道路が繋がらず、河川が繋がらず、自動合成は無理だと判る。

ではどうするか。メッシュ(網の目)歪み補正の機能(ワープ)を使う。

しかし、この作業は、ゴミ取り作業よりも更にきつい。

オルソスキャナではどうか。接合部でのスキャン精度は、1メートル長で、±0.1mmの絶対精度を達成した。Photoshopのフォトマージ機能にお任せで、ほぼ問題が無い。

ラクチンなのである。

もし、あなたがこの記事を読んでいて、もし、日夜、根性で画像を繋いでいるようなら、ぜひ一度、オルソスキャナの実力を試してみて欲しい。

http://www.imeasure.co.jp/ortho/

・・・

オリジナル作品が劣化して、頻繁に大衆の目に触れることの出来なくなる作品が存在する。

だからこそ、高精細レプリカを作成して、それを展示する。

管理環境の整っていないギャラリーにも気軽に貸し出し、作品の認知度を上げる。

A.オリジナル作品は大事に保管する。 

B.作品をより多くの人の目に触れてもらい価値を伝える。

この相反する需要を同時に叶えるために高精細レプリカの価値がある。

そんな時代。


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