地図っていいな(ボソッ)。
私、地図が大好きで、昔はスーパーマップル(書籍)を買ってずっと眺めておりました。最近はグーグルマップやグーグルアース、iOSの3Dマップなど、ものすごく進化した地図をいつでも利用でき、素晴らしい時代になった幸せをかみしめております。
それはさておき、地図作成はIllustrator向きの作業なので、Illustratorを使っているならば作ったことある人も多いことでしょう。
地図は地面、道、目印などをレイヤー分けして作るのが一般的だと思いますが、大きめに作成した地図から一部分を切り出す際などは苦労しますし、データの造り次第ではうまくいきません。
↑背景と道路をレイヤー分けの図
↑この地図から青囲み部分のみ使用するとしましょう
↑ダイレクト選択ツールで選択したら複合パスがうまく切り取れませんでした。背景も一枚なので選択できず
まあ、クリッピングマスクをかけてしまえば良いのですが、余計なオブジェクトが残る、せっかく分けたレイヤーが統合される※、マスク内のオブジェクトは選択しづらいなどの問題があります。
※↓DTPTransitさんが回避策を紹介しています。
DTPTransit/(オブジェクトベースでない)レイヤーのクリッピングマスクの使いどころ
そこで今回は、任意のオブジェクト形状※でその他のオブジェクトを切り抜くことができる有料プラグイン「plugx-clipper」をご紹介します。発売元の(株)地理情報開発さんは超使える画像抽出プラグイン「plugx-ReplaceRaster」を無償配布していることでも有名です。
※ライト版は回転の無い長方形のみ
え、そんなのパスファインダーの分割でできるんじゃ? と思う方もいるかもしれませんね。
では実験してみましょう。
↑抜くのは青囲みの範囲
分割をかけると、塗りのないパスはブツ切り要員になって消えちゃいました。
↑線路が消えて他のオブジェクトが線路に沿ってカットされてる
背景と道が抜き合わせになっちゃいました。
↑レイヤー統合、背景と道路が抜き合わせに
さらに分割後余計なオブジェクトも手動で削除しなければなりません。
でもplugx-clipperなら、切り抜くオブジェクトを選択して、コマンド一発で完了。このときオブジェクトは最前面になくても大丈夫です。
↑一発でこうなる
オブジェクト構造も階層もレイヤーも保ったままです。
第一線を退いた「フィルター」コマンドは今はほとんど使われないと思われるので、2回目以降適用する場合は「前回のフィルタを適用(コマンド+E)」でバシバシいけちゃいます。ま、頻繁に使うなら元々ショートカットを当ててしまう方がラクですけど。
注意点は、指定オブジェクト範囲外を全て削除してしまうこと。消したくないものは予め「ロック」や「隠す」を適用しておきましょう。
プラグインは実体のオブジェクトを加工します。このため加工後線幅がはみ出して指定の寸法にならないこともありますが、パスの制約上仕方のないところです。
パスを途中で削除するので破線や線幅、ブラシ、矢印、グラデなどを使用している場合、絵柄が変わることも考えられます。線路あたりはまあいいとして、可変線幅は特に注意ですね。
↑パターンは大丈夫そう。間違い探しはサイゼリヤより簡単
↑アピアランス分割やパスのアウトラインをかけておけば絵柄通りに切り抜ける
製品のラインナップにはフル版とライト版がありますが、フル版はオブジェクト形状が自由で、切り抜くのをオブジェクトの内側か外側を選択でき、さらには画像の切り取りもできるそう。
フル版は地図に限らずオブジェクトの加工に重宝しそうです。パスファインダーで個別に切り抜いてゆけば同じことが出来そうですが、省力、正確さ、時短に対して有料プラグインの価値があるのです。
私、対応バージョンの問題と価格でかなり悩んだ挙げ句、ライト版の方を買ってしまいました(実は買ったばかりでまだ実戦投入してません^^)。なので地図くらいしか使い道ない…。にしてもフル版は汎用性高そうだなー。いいなー。
これ、技術的に惚れました。こういう機能こそIllustratorに標準搭載してほしいですね。