※QuickeysでやっていたものをKeyboard Maestroに置き換えてご紹介をしています。動作確認はしておりますが、間違いなどありましたらご指摘いただけると助かります。
●アクションでは作れないマクロを作る
Illustratorのアクションは目的の操作を記録できなかったり、記録したくないものまで記録してしまうものがあります。仕方がないので手動で、と諦める前にKeyboard Maestroを使ってみましょう。
前回は単発のショートカットの切り替えしか使いませんでしたが、あれはいわばサブ・ウエポン。ガンダムで言えば頭部バルカンです。
Keyboard Maestroは連続動作を記録・実行するほうがメイン・ウエポン、ビームライフルです。うまく活用すれば、アクションを超える自動化を構築でき、戦艦なみの作業を一撃で沈めることができる、かもしれません。
Keyboard Maestroは(キー設定済みの)アクションを実行させたり、スクリプトを噛ませることができるので、Keyboard Maestroが記録できなくてもアクションやスクリプトで対応できればセーフ。アプリケーションを跨ぐことだって可能です。
そう考えると、使えるアクション数はかなりのもの。前回「レゴのよう(私はダイヤブロック派でしたが^^)」と申しましたが、ほんとこれ。組み合わせ次第でいくらでも好きなものが作れちゃう。
↑Actionいっぱい
基礎知識として覚えておきたいのが、Keyboard MaestroとIllustratorアクションの違い。Keyboard Maestroはコマンドの内容ではなく、行った操作や指定のActionを記録・実行します。
例えば「command+C」を記録した場合、Illustratorアクションでは「コピーする」を記録しますが、Keyboard Maestroは「command+C」を記録します。
そう、あくまでも上っ面です。仮にコピーのショートカットがcommand+Cでなかったらコピーは出来ません。ここは重要なので意識してマクロを作成しましょう。
さて、今回はデモンストレーションとして、ダミーのテキストフレームに別ファイルのテキストを流し込んで各スタイルをかけてみます。
↑ダミーに流し込み+スタイル適用。あーありがちなお仕事。見づらいけど赤文字見出しが段落スタイル1、本文が段落スタイル2、最終行が段落スタイル3となっています
条件として、テキスト側は1ブロックの要素が、「合い番、段落1、段落2、段落3、アキ1行」で作成されていること。これは入力時に取り決めたり、データベースからの書き出しなら問題ないでしょう。支給データでも多少のガタツキは正規表現などで整えられますし。
↑きれいなテキスト。それだけで感動できる
Illustrator側は段落スタイルパネル位置とスタイル順序の固定。記録時と実行時で座標が変わらないようにします。事前にワークスペースを保存しておくとよいでしょう。
↑段落スタイルパネルは一度決めたら動かさない(少なくともマクロ作成、実行中は)。ワークスペースに記録しておけば動かしても同じ位置に戻せる
では、マクロを作っていきましょう。内容は、
・テキストエディタから3段落分コピーしてIllustratorへペースト。
・ペースト直後に段落スタイル3を適用。
・カーソルをフレーム先頭に置き、段落スタイル1を適用する。
でOKですね。
Illustratorでテキストフレーム内にカーソルを入れた状態にしてから、Keyboard Maestroで右下にあるRecordボタンを押してIllustratorに戻り、以下の操作を実行します。
↑右下にあるRecordボタンをクリックすると記録が始まります
1. アプリケーションをJeditに切り替える。
2. ↓キーを押す(カーソル移動)
3. shift+option+↓を押す。(1段落選択のショートカット)
4. shift+option+↓を押す。(1段落選択のショートカット)
5. shift+option+↓を押す。(1段落選択のショートカット)
6. shift+←を押す。(改行の選択解除)
7. command+X(カット)。
9. ↓を押す。(カーソル移動)
9. ↓を押す。(カーソル移動)
10. アプリケーションをIllustratorに切り替える。
11. command+A(全選択)。
12. command+V(ペースト)。
13. 段落スタイルパネルの段落スタイル3をクリック
14. command+A(全選択)。
15. ←を押す。(カーソル移動)
16. 段落スタイルパネルの段落スタイル1をクリック
記録を終了するとKeyboard Maestroのエディタに一連の動作が表示されます。この際アプリ切り替えのショートカットなど不要なものを消去します。
↑選んでDeleteで消せます
しかし、テストしてみると指定通りに動きません。
↑全部にスタイル3が当たってるし、テキストのカーソルが合い番前まで行ってない
本来ならテキストカット後にカーソルが次の合い番まで移動するはずなのにしていない。これはIllustratorへの切り替えが速すぎるのが原因なので、ここにPauseを挿入します。
↑各Actionはドラッグで挿入できる
次にペースト後のテキストに適切にスタイルが当たりません。これもペースト後、瞬時にスタイルクリックしているためうまく適用できていないようです。ここにもPauseを挿入しました。
↑optionドラッグで複製可能。直感的に編集できる
↑マクロの内容はこんな感じになります
これで流し込み&スタイル適用がワンタッチになりました。実際は、マクロ実行前に流し込むテキストフレームに段落スタイル2を適用します。
↑カーソルを入れてから設定したショートカットを押すだけで、流し込み+スタイル適用は終わり。(gifは2つ目まで)
実務では縦書きの混在もあると思います。縦書き用はマクロを複製して、Illustratorコピペ後全選択後の←を↑に変更してHotkeyを別に設定します。
このように決まった複数操作をマクロ化してしまえば、物理的な手さばきもいらず、作業の抜け、コマンドの選択ミスも起こりません。似たような案件ならちょっとした改変で流用できます。
一応お断りしておきますが、みんなでコレやろぜーとかは思っておりません。デモはあくまでもデモ、こんなことができますよってことです。
Keyboard MaestroやQuickeysは、今まで強化作戦で紹介してきた「○○ができるプラグイン・スクリプト」と違い、強化用アイテムであると同時にジェネレーターです。
アイデアや仕事の内容によって、便利度ががらりと変わる面白いユーティリティーですよ。
※前記事のアップ後に知ったのですが、私がアクションでヒイコラやってた「移動」を、三階ラボさんはスクリプトで対処していますね。
そうか、スクリプト組める人はKeyboard Maestroの特性を踏まえて作れるので、スマートにそして上のレベルで闘えるのか。すごいなぁ。