Illustratorの2016年11月リリースのCC 2017にてフォントまわりの機能強化がやってきました。
- 「お気に入り」フィルター
- 「分類」フィルター
- 「類似」フィルター
に、従来からある次の機能組み合わせると、よりスムースにハンドリングできそうです。
- 最近使用したフォント
- 検索
InDesignの「お気に入り」機能の実装は2013年9月。最も必要なのに、後回しにされてしまっていたIllustratorの実装まで、実に3年も待ったことになります。結果オーライですけど、ちょっと待たせすぎですよね。
DTP Transitでは、タイトルなどに「!」を使わないようにしているのですが、今回は「(泣)」さえ、入れたいくらいです。
「お気に入り」フィルター
よく使うフォントに印を付けておき、カンタンに呼び出せるようにするというもの。なお、「フィルター」とは、条件に合うものだけで抽出する、という意味ですね。
次のように、フォントのリストで★を付けておくと、
[フィルター]の★をクリックすることで、★を付けたフォントのみが表示されるようになります。
そこで思いつくのは、プロジェクトごととかで、お気に入りのセットを使い分けられないのかな〜ということですが、そのようなものは現状ないようです。
また、ほかの環境に移行するためのバックアップ方法も、ぱっと見たところ、わかりませんでした。
「分類」フィルター
「分類」は、「セリフ」「サンセリフ」などのフォントのカテゴリごとにフィルターするというものです。
[▽]をクリックしてフィルターバー(というのかな?)を開き、[すべての分類]をクリックしてポップアップメニューを開きます。
「スクリプト」を選択すると、スクリプト系のフォントのみが表示されます。選択中のフォントとは無関係です。
「セリフ」を選択すると、セリフ系のフォントのみが表示されます。
日本語フォントはサポートされていません。惜しい!!
「類似」フィルター
[▽]をクリックしてフィルターバー(というのかな?)を開き、[〜](正確には二重の「〜」をクリックすると、選択中のフォントに近い(と思われる)フォントのみが表示されます。
こちらも日本語フォントをサポートしていません…
フォントのライブプレビュー
Illustrator CCから、Mac環境でも↑キー(↓キー)を押して選択中のテキストに対してフォントを適用になりましたが、Illustrator CC 2017では、次のように変わっています。
- マウスオーバーのみで適用される(「自動」カーニングなども適用される)
- フォント名をクリックしたら、その時点で適用
サンプルテキストの割付
Illustrator CC 2017では、[文字ツール]を選択してクリックしただけで、「山路を登りながら」という文字列が割り付けられます(常に8文字)。
エリア内テキストの場合には重宝するかもしれませんが、不要な方は、環境設定でオフにします。
ポイントテキストはオフ、エリア内テキストの場合にはオンのようなことはできません。
空のエリア内テキストを選択し、[書式]メニューの[サンプルテキストの割付]をクリックして、必要なときのみ挿入するのが現実的な使い方でしょう。
せっかくの機能なので、サンプルテキストをカスタマイズしたいところですが、できないようです。
と思ったらできました。
異体字のコンテキスト表示
やはりInDesignに一足先に実装されていた「字形ミニパネル」が、Illustrator CC 2017に実装されました。「字形ミニパネル」とは呼ばず、「異体字のコンテキスト表示」と呼ぶようです。
テキストを1文字のみ選択すると、字形ミニパネルが表示されます。一番右側の[>]ボタンをクリックすると、[字形]パネルが開きます。
字形ミニパネルは、Photoshop CC 2017でもサポートされています。
InDesignでは、環境設定でオフにすることができましたが、Illustrator CC 2017では非表示にできません。
最近使用したフォント
Illustrator CC 2017では、[書式]メニューの[フォント]のサブメニューの上部に、[最近使用したフォント]のリストが表示されるようになっています。
[書式]メニューの[最近使用したフォント]は健在ですが、嬉しいですね。
Illustrator CC 2015.3の方では「文字もじモジ」が見切れていませんが、サブメニューの▼がファンキー仕様になっています。
それはともかく、アドビの公式サイトには、次のように書いてありまして、
最近使用したフォントおよびお気に入りに指定したフォントは、Illustrator のセッションが終了しても保持されます。
「はい、はい。Illustratorを使ったことない人が訳したのね…」と思ったのですが、もしや、と思って確認してみたところ、再起動しても、[最近使用したフォント]の一覧が保持されるようになりました!
悲しいお知らせ
UIのコントラスト
UIが変更されましたが、どの明るさにしてもコントラストが低くて、どれを選択しているのか、などわかりにくいです(老眼に厳しい)。
[文字]パネルの[文字タッチボタン]
[文字]パネルの[文字タッチボタン]のファンキー仕様は変わらず…
トグルっぽいく見せかけておいて、押したら最後、何もできないボタンです。
[検索]ダイアログボックス内、検索できる記号に改行がない
ここに「改行」が欲しいですよね。
まとめ
改めて書き出してみると、今回、とても手が入っていますね。
- 「お気に入り」機能でよく使うフォントのみを呼び出せるようになった
- 「分類」フィルター、「類似」フィルターもあるけど、これは欧文フォントのみの対応
- マウスオーバーだけでプレビューされるようになった
- テキストオブジェクトを挿入する際に、サンプルテキストが割り付けられるようになった(環境設定でオフにできる)
- 異体字のコンテキスト表示が可能になった
- [最近使用したフォント]が、フォントリストの一番上にも表示されるようになった。また、Illustratorを再起動しても、リストを忘れなくなった