つい最近、著者さんが図版を自分で作りたいということで、それなら、そのIllustrator(.ai)データをいただき、当方で書体だけ置き換えましょうという案件がありました。
案の定、使われていた書体はMS明朝とMSゴシック(もちろん、Pも混じってはいましたが…w…)でした。図版ですから文章ではなく、配置してある文字の位置を半角スペースで調整している…というようなモノでした。
その際に気付いたこととメモしておきます。
MS書体開発元へのリンク→ 「MSゴシック」、「MS明朝」についてのお話
- 尚、上記リンク先「スペースの文字幅」の項にMS P書体の全角スペースは2/3角であると記されています。 確認した画像
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私自身は普段からMS書体を使用することはまずないので、Wordで作成されたテキストなどを別のエディタで開いて、「なんでこんな文字を入力してるの?」と思うことが多々ありました。
例えば、全角幅のスペースを確保するつもりで半角(欧文)スペースを二つ打っている…あるいは全角(和文)パーレンと半角(欧文)パーレンの混在……。
以下のような文字種たちです。
(表示画像の環境は OS X 10.9.5上のInDesign CS6…以下同)
- お気づきかと思いますが誤植をやらかしてしまいました。一番上の「全角ス(和文)ペース*1」部分、正しくは「全角(和文)スペース*1」です。キャプチャを撮り直して、再度アップロードせねばなりませんので、このママでご勘弁願います(他の画像もすべて同じ)。
これを見ると、なるほど半角(欧文)スペース二つで全角スペースの幅になっていますし、半角(欧文)パーレンも丁度半角幅で高さも揃っています。これならそのように入力してしまうのも頷けますは無理もないかも知れません。
「欧文スペースは書体に依存するので、必ずしも半角幅ではありません…そうでないモノが大半です」と説明しても、なかなか納得してもらえない原因もここら辺りにあるのかも知れません。
がしかし、その書体を置き換えますと……
例えば、小塚のファミリーに……
このように半角(欧文)スペースは必ずしも半角幅ではありませんし、半角(欧文)パーレンは下がってしまいます(もちろん幅も半角ではありません)。このような結果になるのが一般的ですね。
上(や下)に掲げたモノも含め…画像へのリンクを貼っておきます。
→ ヒラギノファミリー
→ 游ファミリー
→ イワタオールドファミリー
→ 筑紫ファミリー
→ リュウミンファミリー/中ゴBBB
→ 秀英ファミリー
→ 凸版文久明朝/源ノ角ゴシック
→ MS書体
→ 小塚ファミリー
※半角(欧文)スペースが(ほぼ)1/3幅の書体もありますが、游ファミリーのように微妙に異なっている場合もあります。あくまでも個々の書体に依存すると考えるべきでしょう。
※比較的最近の書体では半角(欧文)パーレンのデザイン・高さがほぼ全角(和文)パーレンと合うように設計される傾向にあるようで、游ファミリー・秀英ファミリー・凸版文久明朝などがそのようになっています。書体によっては、完全にピッタリ同じというわけではありませんが、重ねてみないと判別はつきかねます。但し、幅は半角ピッタリではありません)。
※U+2014(EM DASH)とU+2015(HORIZONTAL BAR)の扱い(位置・長さなど)もそれぞれ異なっていますので注意が必要です。
※特に源ノ角ゴシックは、二つ続いた際には(GSUBの機能によって)より適切なモノに置き換えられているのが見てとれます(三つまで対応)。