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kin: InDesignの見出し飾り

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久しぶりにInDesignの実用技を。InDesignはウラシマ状態ですので、ツッコミどころありましたら遠慮なく^^

組版作業で悩ましいのが見出しの飾りですよね。段落境界線で対処できればラッキーですが、線の組み合わせだけでは済まないことも多いです。デザイナーとしては「見せ所」なので事情はわかります。

いいかげん、段落の背景にオブジェクトや画像を置く機能、HTMLでいうところの「background-image」相当のものをつけてほしいと誰もが思っているでしょうけど、難しいのでしょうかね?

現状の機能ではアンカー付きオブジェクトだと前面に配置されるのでテキストを隠してしまいます。

↑わかりにくいけど、アンカー付きオブジェクトになってます。アンカー付きオブジェクトはテキストよりも前面に出てしまいます



文字色次第では乗算やスクリーンを使うことで対処できそうだけど、デザイン次第では別の問題も考慮しなければならなくなる。そもそも透明効果を嫌う人も少なくはないでしょう。


↑白文字ならスクリーンで見える。分版プレビューで見た限り大丈夫そうだけど、実戦投入したことないので何とも…

他には飾りと見出しを別グループとしてインライン挿入する方法もありますが、これだとストーリーから見出しが分断されてしまいます。

↑見た目ではOKだけど、ストーリーが分断してしまっている。出力して終わりの時代は良かったけど、今は何かと不便



数カ所しかないなら、単独オブジェクトとしてレイヤー分けて手作業でもよいかもしれませんが、300ページとか、月刊誌で毎回1ページに2~3箇所×10ページとかあると、見出しごとに手をかけていられない。特に修正時の置き忘れがこわい。

最初のフォーマット作成には手間をかけたとしても、編集中は勝手についてくるのが理想でしょう。

そこで、テキストを分断せず、飾りが連動して動く方法をご紹介しましょう。飾りはInDesignオブジェクトでも画像やaiリンクでも、なんでもでもOK。

条件は「2行取り以上」ということくらい。

↑ちゃんと連動しているでしょ



原理は、1行目にオブジェクトをインライン挿入、2行目以降の位置を調整する。2行取り、3行取りへの応用や別デザインへの流用も簡単です。フレーム外へのはみ出しも可能です。

またもや前置き長くなりましたが、見出し飾りを作っていきましょう。

今回は見出しを前1行空き、3行取りとします。

↑3行取り、飾りは左側がフレームの外にはみ出している



グリッド揃えを使うので、ベースライングリッドとフレームグリッドではやや数値が異なります。今回は分かり易いようフレームグリッドを使います。

↑グリッドの数値。級数は13Q、行送りは21H。よって3行取りは21H+21H+13Qで55Q=13.75mm


まず、計算しやすくするため、飾り用のボックスを3行取り分の高さ(13.75mm)にします。高さに満たないものは空ボックスを含めてグループ化しておきましょう。

↑Illustratorで作成、リンク配置した



Illustratorで作成してリンクするのが簡単ですが、カラースウォッチに連動するならばInDesignオブジェクトとして作成した方が良いでしょう。

これをインラインオブジェクトとして1行目に挿入します。

↑1行目にカーソルを入れ

↑配置かペーストしてインライン挿入する


この時点で行取りになってしまいますが、行送り自動以外に変更すると下揃え(上にはみ出し)になります。グリッド揃えの位置と行送り値によっては下が空いてしまうので注意。


↑行送りを13Hにすると下揃えになる



ベースラインシフトで高さ2行分下げます。インラインオブジェクトはドラッグでも移動できますが、ここはきっちり計算して数値として残しておきます。


↑上にはみ出している2行分(21+21=42H)ベースラインシフトで下げる


段落分離禁止オプションで次の1行分(見出し)と連動するようにする。

↑次の行数を1行保持して見出しとの分離を防ぐ


フレームから左へはみだすので行揃えを右揃えに設定する。

↑右揃えにしてはみ出しを調整する


あと、前1行アキを設定する。ここまでをGIFアニメで。



この行を段落スタイルとして登録し適用する。

↑インライングラフィックのための段落スタイル



次に見出しの設定をする。こちらも段落分離禁止で次の1行を保持しておく。


↑見出しの級数書体、後ろアキやインデントなどもろもろ設定し、スタイル登録


こっちもGIFを。






↑設定できたらこちらもスタイル化


実務なら2行になるデザインもありますよね(考えずに作ったので見づらい…)。設定でうまいことなんとかして子スタイルにしておく(きっちりやるととっても大変なのでここは適当です)。


↑2行パターンも段落設定とベースラインをきっちり計算で割り出して作成。項目は段落業取りやら行送りの設定やらなにやらでめんどいので詳細は割愛

↑スタイル化してしまえば適用するだけ


設定が出来たら、作成してゆきましょう。
飾りのある行をコピーして空行へグリッドフォーマットを適用せずにペースト。

↑飾り行を空行へグリッドフォーマットを適用せずにペースト


↑そのまま見出しのショートカットを押す


↑ほらできた



といいつつ、毎回ペーストするのは面倒。ここまでできれば一括変更も検索置換で簡単。



このようにプレーンの状態からオブジェクトをコピーしておき、以下の設定を実行すると、




↓こうなります。


さらに、見出しに共通項があれば、

↑デモなので見出しを共通項にしていますが、実際は番号+タブ始まりだったり、なんやかんや

こうなる。ここからさらに正規表現の検索置換で見出しスタイルの文字数が20文字以上は2行見出しのスタイルをかけるなど、手動を挟まず見出しの飾りを完成できます。


ただし文字数での2行スタイル適用は半角や詰めなどがあれば狂いますので確認が必要です。


これ、せうぞーさんのregex_continuous_substitution.jsxを使えば、ひとまとめにして一発で適用できます。ページ物でこれをやるとあまりの便利さに失神します。



さて、この方法、欠点を上げるとすれば、テキストを真上から選択できないこと。普通はテキスト上でカチカチすれば選択できるのに無反応なのは、慣れないとイラッとする。

テキスト選択は次行から上カーソルで入れるしかない。キー操作でテキスト選択(段落とか1行とかを選択)できるよう慣れましょう。

あとは直感的ではないこと。設定は理詰め、サイズや行送りに合わせてガチガチに固めるので、イレギュラーが多いものにも向かない。また、流用もサイズや行送りが変わるだけで一から設定し直しになります。

まあ、一度決めてしまえば、見出し飾りを意識することなく組版作業ができますので、同一フォーマットの大量ページ物、定期物などではとっても便利ですよ。










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